水平管内液中を気体が進行する際の気体先端近傍の液相の流れに関する研究

目　的

　加熱されている管の中で液体がどれだけあるかということは管の熱の伝わり方に影響を及ぼすので重要です。そこで私たちは管への熱の伝わり方関する基礎的な研究として水で満たされた水平円管の中を空気が通過した後の管の壁に残る水の膜の量,つまり液膜厚さが何が原因で決まるかについて調べることを目的としています。

方　法

水平円管が非常に細く流れが遅い場合や鉛直管の場合気泡の先端は球のような上下対称の形をし、水の膜の厚さは液体の種類、流れの速さで決まることが分かっています。しかし、管が太く流れが早い場合は気泡の先端が上下非対称の形になるので液膜の厚さが何によって決まるかが分かっていません。そこで、上下それぞれにおける気泡先端の形を観察実験から、流れの状態を数値解析からそれぞれ調べ、流れの状態が気泡先端の形に及ぼす影響、その気泡先端の形が水の膜の厚さに与える影響について調べています。

応　用　例

• 化学プラントやボイラーなどの加熱されている配管系を大きな気泡が流れたとき気泡通過後は通過前よりも水の量が減るので今まで減少した水に伝わっていた分の熱が直接管壁に伝わります。そのままにしておくと時間とともに管壁の温度が上昇し、管壁が溶けてしまう恐れが生じます。そこで、液膜厚さを予測しておくことはプラント設計の一つの目安となります。特に熱交換器内の水平管部分では発生した気泡が停滞しやすいやすいので安全上重要です。

• LNGプラントなど蒸発を伴う管路内の液体と気体の輸送において、管の中を大きな気泡が流れる場、管の壁に残る液膜の厚さはプラント運転時における液体の質量流量の予測に役立つものと考えられます。
  

実験装置