近年の地球観測衛星に求められるミッションの多様化は目覚しく,地図作成,都市計画,災害監視などの新たな利用分野への貢献が期待されています.また,リモートセンシング技術の向上に伴う画像の高分解能化も著しく,1990年代前半まで米国のLANDSATの30m,仏国のSPOTの10m程度に留まっていましたが,1999年には分解能1mクラスの商業衛星IKONOSが運用を開始しました.このような地球観測衛星による高分解撮像は,これまで大型衛星によるものが主流であり,小型衛星での高分解能観測ミッションの実績はほとんどありません.しかし,小型衛星は,開発期間やコストの短縮,単一ミッションの負荷によるリスク分散など大型衛星にない利点があり,小型衛星によって高分解撮像が可能となれば,その需要は非常に大きいものと考えられます.また,小型衛星の場合,その質量が100kg程度以下である場合に,ピギーバック衛星としての打ち上げが可能であることから,打ち上げコストの大幅な削減にもつながることが期待されます.
本研究室では,小型高分解能リモートセンシング衛星を実現する上でクリティカルとなる要素技術の他,システム化技術について検討を行っています.